水の危機と日本の食

私は仕事中コーヒーを飲みます。水はペットボトルで買うし、お茶は水道水を沸かします。飲み物に困ることはありません。

前回も食について考えましたが、違った視点から今回は水について考えます。

 

 

【FP2級 元会社員で主婦フリーランス コダイが綴る 人生を豊かにする本紹介ブログです。】

日本人にとって水は、まさしく湯水のごとく使える天からの贈り物です。そんな水が改正された「水道法」によって、貴重な資源であり、現在の水につけられた価値として値段が今後も続くとは限らないことが明らかになりました。水の価値はダイヤモンドより高いにも関わらず、その価格は著しく低いと「水とダイヤモンドのパラドックス」でアダム・スミスは言っています。確かにダイヤモンドがなくなって生死関わることはないですが、水がなくなれば人類は間違いなく滅ぶでしょう。※1

 

日本人と水

水の価値を日本人が認識していないのは、日本が水の多い国であるという誤った認識があるからです。年間一人当たりの水資源量は降水量や他国から入ってくる川の水量などから導き出す値で、日本は3300立方メートル。世界平均の8600立方メートルの半分以下だと「水戦争」で柴田明夫氏が明らかにしました。

日本人が使える水の多くは農業用水になっていて、農業用水の半分以上は回収不能となります。このため、日本も決して水が豊かな国とは言えない状況なのです。※2

 

食品と水

バーチャルウォーターという言葉があるように、水には食糧に内包されるという側面があります。作物を育てるために多くの水が使われており、自給率が低い日本のような国の場合、輸入食品を介して多くの水を現在も輸入しているのです。

もし、世界が水の危機に瀕したとき、自国の食糧自給率が低ければ水だけでなく食糧危機にまで陥るのです。この事実を認識せず、輸入に頼り、農業から撤退していく現在の傾向は国民を危険にさらしていくこととイコールなのです。

 

 

日本の食

日本の食を守ることは、日本そのものを守ることと等しいといえます。地産地消で国産の作物を積極的に摂取していかなければ、やがて来る危機に対処できないでしょう。

それにもかかわらず、国産の野菜や畜産物は値段が高くて買えないから安い輸入食品頼ってしまう消費者がいることは事実です。

 

 

畜産

畜産において、特に気になるのがチーズやバターなど発酵食品の輸入関税です。チーズやバターが直接のトリガーにならないため、この規制の必要性が気づかれにくいのです。牛乳は出荷する際、夏と冬で需要に大きな差が出る。しかし、生産量自体の調整ができません。供給過多になる冬の牛乳市場での価格下落を防ぐため、生産を賞味期限の長い乳製品のチーズやバターにシフトしています。この移行がうまくできないと畜産業で一年間継続的に儲けを出すことが困難となり、牛乳の生産自体ができない事態に陥るでしょう。国産チーズやバターの消費がたとえ高い価格であろうと必要なのは、結局消費者が安い価格で牛乳を飲むことにつながるからです。このような仕組みを理解しない消費者が、ただ安く食品を買い求めた結果が現在の食システムなのです。※3

 

日本の食を守るために私たちは何をすればいいのだろうか?

2030年に向けて世界が合意したSDGs(持続可能な開発目標)の中に、「飢餓をゼロ」にという項目あります。

これは日本人には実感を伴いにくい項目であるが、出費を惜しまず食にお金をかけられる人々がいる一方、現在の成熟した食システムの最大の問題は飢餓を減らすことに貢献していないことです。

飢餓を減らすことよりも利潤を優先する食品企業が広告を盛大にするなど、ほかの消費財とかわらない扱いが食品においてもされている点が深刻です。

 

この世界のルール

飢餓を減らすことより消費されるためのコストが食品価格に上乗せされます。小売流通モデルではいかに安く生産するかが最大の命題なのです。論理は人間の生態系と決定的に矛盾しているがこのシステムが世界中に広まり、定着したグローバル世界では簡単にひっくり返すことができません。

 

かつて「食を制するものが世界を制する」と言われたことが本当に実現しようとしています。私を含め、日本人は危機感が薄いのではないか?飢餓がなくならない現状ではこれから世界的な人口増加に対して、ますます水と食の危機が増すこと目に見えています。

この危機に対処するためには長期的なスパンで対策を講じることが不可欠なのだ。作物はすぐには育たたない、牛や豚の育成にも時間がかかります。この点で食はほかの消費財と決定的に違います。

 

「持続可能な食システム」

これを実現するためには今、始めなければならないことがたくさんあります。畜産農業に直接かかわる機会がなくてもできることはあるでしょう。賢い消費者として行動することです。

高い意識だけでは何も変わらない。フードロスの問題がやっと身近になりつつあるが、消費者を悪者だとはっきり言うメディアは少ないです。

私たち消費者が早く、簡単においしいものを安く食べようとすればするほど、食システムは破たんに近づきます。食システムが破たんすれば、自分のものは自分で作る昔のような暮らしが戻ってくるかもしれません。

そうなる前にこの社会が変わっていくことを一人の消費者として願いつつ、今日もスーパーに買い物に行きます。

 

 

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【参考文献】

※1「水が世界を支配する」 スティーブンソロモン

※2「水戦争 水資源争奪の最終戦争が始まった」 柴田明夫

※3「食の終焉」 ポールロバーツ